カボチャの馬車は、途中下車不可!?

『はい、エーエス企画でございます』

「YKDの真杉と申します。いつもお世話になっております。斎藤さんはまだいらっしゃいますか?」

『斎藤ですか? えーっと……もう帰った……いえ、いますね。帰るとこみたいですけど。斎藤さーん』

よかった、捕まった……
ホッとして待っていると。
保留にしていないせいで、『何だよ?』って不機嫌そうな声がこっちにまで漏れ聞こえてきた。

『YKDの真杉さんて人から電話ですけど』

『えー? 俺もう帰るんだけどなぁ』

めんどくさそうな声が遠くでして。それから……

『はい』

「斎藤さん、真杉です」

『はいはい、どうかした?』

「実は、オオタフーズのプレゼンなんですけど……」

私は正直に、すべてを話した。

日程変更の伝達がうまくいかなかったこと、そのため正規のプレゼンに出席できなかったこと、でも明日、なんとか話だけ聞いてもらうため、一緒にオオタフーズに行ってもらいたいこと……

電話の向こうで、チッと派手な舌打ちが聞こえた。

『あのさぁ、それって全部そっちのトラブルでしょう? こっち巻き込まないでもらえるかな』

「それは十分わかってますがっ」
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