カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「あー……まいった」
社員向けに開放された、中庭のベンチ。
暮れていく空に向かって吐かれた言葉が、か細く消えていく。
梅雨の貴重な晴れ間。
後ろ髪惹かれるように茜色を残した空は、もうすっかり夏のそれで。
本当なら、お盆休みの予定でも考えて、わくわくしてる頃なのに。
なんで私だけ、こんな……
そりゃ今までも、トラブルはたくさんあったけど。
あー……今回は、特大級だ。
さすがに、これはへこむな……
早く戻って、取り掛からなくちゃ。
私にできることだけでも、やらなくちゃ。
樋口さんには明日って言っちゃったし。
それはわかってるんだけど——
ダメだ、なんだか全身が重たくて、動かない。
スマホを手の中でくるくるまわしながら、ぼんやりしていると。
ピロン♪
軽やかな音が、メッセージの受信を告げた。