カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「はい、えぇ……そうですか……いえ、こちらもご無理を申し上げまして。はい、またぜひよろしくお願いいたします」
受話器を置き、ずらりとバツ印ばかりが並んだリストを重苦しい気持ちで眺める。
——真杉がスタッフィングで外したこと、今まで一度もないしな。
部長にまで褒めてもらったくせに、こんな時に力発揮できないなんて……不甲斐なくてたまらなくて、私は脱力しながら天井を見上げた。
デザイナーとイラストレーターは、なんとか確保したけれど。
やっぱり、審査員が難しい。
それなりに知名度のある人じゃないとダメだし。
普段なら、大手食品メーカーとの仕事なんて、断られる方が稀だけれど。
今回は話が違う。
もはやゼロに近い可能性の企画に、名前を出させてくれって言うんだもの。
たとえスケジュールが空いていたとしても、渋るのは当然よね。
「……もう、限界かな」
時計を見ると、10時近い。
さすがに、電話をかけるのは憚られる時間だ。
仕方ない。
ひとまずオファー中ってことで、切り抜けるしかないか。
次は……
企画書を完成させて。
デザインラフも作らなきゃ。
完璧に仕上げるのは無理だから、どこを残して、どこを捨てるのか。
ちゃんと考えなくちゃ。
私一人で、できるだろうか?
夜明けまでに?