カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ちょ……青山さんっどうしたの!?」
「っ……ふっ……えっ……」
彼女の涙は止まらない。
まつげエクステって泣くとき便利なのね。パンダ目にならないから。
いや、どうでもいいことに感心してる場合じゃなかった。
じろじろ。
周囲から好奇の視線が注がれてしまって、私は焦り始めた。
もしかしてこれって、後輩いじめてる先輩の図!?
ちょっと待って、私が泣かしてるわけじゃないんですけど!
大声で説明したい気持ちを押さえて、彼女の腕をつかむと。
「場所変えて話そうか! ね!」
しゃくりあげる彼女をひきずるようにして、その場を後にした。
◇◇◇◇
幸い、ほどなくカフェを発見。
彼女を連れて飛び込んだ。
店内はわりとすいていて、奥まった壁際の席に座ることができた。
一応「何か食べる?」って聞いてみるけど、青山さんは唇を結んでうつむくばかり。
とりあえず泣き止んでくれたことにホッとして、勝手にコーヒー2杯をオーダーして。
気詰まりな空気を紛らわすように、店内に目をやる。
ふわふわと回る天井のファンやさりげなく置かれた観葉植物が涼し気で、居心地良い。木目調のインテリアも落ち着いていて、私好みだ。
「素敵なカフェね。四ツ谷にこんなとこがあったなんて、知らなかったな」
「ね」って青山さんに笑いかける。
でも……彼女は顔をこわばらせて、沈黙したまま。
参ったな、どうしよう……