カボチャの馬車は、途中下車不可!?

優しく上唇を啄まれて。
そして、下唇。

触れるだけのキス——そして。
するりと舌が忍び込む。


「待っ……」

反射的に離れようとした私の後頭部を、ぐっと大きな手が支えて。
ライアンが私へ、覆いかぶさるように、口づけを深くする。

「……っ……、……んっ!」


舌へ、歯列へ、口蓋へ。
彼の舌がゆったりと触れ、なぞっていく。


それは——不思議なキスだった。

奪いつくすような激しさはなくて。
どこまでも優しく温かく、満ち足りていて……


「ふ、ぁ……っ」


カリカリ、すがりつくように彼のシャツをひっかいていた私の手からは、いつのまにか震えが消えていた。
< 275 / 554 >

この作品をシェア

pagetop