カボチャの馬車は、途中下車不可!?


「ここで待っていてもらえますか。大河原を連れてきますから」


通された会議室で、私は何度も頭を下げた。

「すみません、樋口さんにまでご迷惑を……」

「いえ、元はと言えば、僕の確認不足なんですから。気にしないでください。じゃあ、行ってきます」

「はい、よろしくお願いします」

手の平に滲む汗を自覚しながら、資料を出して準備を整える。


ダメでもともと。
とにかく、やるしかない——




「へぇえ、往生際が悪いねぇ。未練たらしい女は嫌われるよ?」



皮肉っぽい声がして。

ドアから入ってきたのは……本宮さんだった。
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