カボチャの馬車は、途中下車不可!?
——伝統的に広報部と開発部、あまり仲が良くなくてね。なのに、大河原さんの登場で開発が一気に天下とっちゃっただろ。当然広報としてはおもしろくないわけ。
——そろそろ帝電以外とも仕事してみたいって漏らしてたらしくてね。
他の代理店を、と言い出したのは大河原さんだ。
——裏では結構、足の引っ張り合いとかすごいらしいよ。
まさか。
私は、巻き込まれた? 利用された?
大河原さんの失点にしようとする樋口さんに? 広報部に?
「っ……」
ジャケットの裾を力任せに掴んで、叫びだしたい衝動を堪えた。
あんなにがんばったのに……全部無駄だったってこと?
徹夜明けの疲労と絶望感が、濁流のように全身に回りだす。
そんな私の様子を眺めて、にやにや笑いながら近づいてきた本宮さんは。
並べた企画書を覗き込んでいたかと思うとぐしゃりと鷲掴み……ぽいっと宙にバラまいた。
「ちょっ……何するんですかっ!」
パサパサ……
乾いた音を立てて、紙が床に降り積もっていく。
「鏡見てみろよ。目の下、すっげえクマだぜ。徹夜なんて、曲がり角過ぎたオトシには禁物だろぉ。しかも無駄骨とか! あぁあ、カワイソー」