カボチャの馬車は、途中下車不可!?

後悔してる。

あの朝、勢いのままに好きって、伝えてしまえばよかったのにって。
そうしたら、少なくとも今こんなに悩むことはなかったのに。

時間が経つにつれ、いろんなことを考え出してしまった私は、どうやって伝えたらいいのか、わからなくなってる。

ううん、そもそも伝えていいのかってことも、最近はよくわからない。

だって。彼が私にこだわってるのって、他の女の子と違って、すぐ彼になびかなかったからでしょう?


——初めてなんだよね、一晩で落ちなかったのって。飛鳥が初めて。だから、プライド刺激されたっていうか……

好きって伝えたら、私の気持ちを手に入れたことがわかったら、ゲームはクリアってことになるんじゃない?
私に対する興味は冷めて、次の対象へと移ってしまうんじゃない?
それでなくても、彼はモテるんだし。

考え出したら、どんどんドツボにハマって。
ものすごく怖くなって。
好きって、その一言が……言えなくなってしまった。

好きって言わなければ、あなたはずっと、私を見ていてくれる?
そばにいてくれる?

こんなの、ずるいってわかってる。
わかってるんだけど……


「飛鳥? どうしたの?」

ハッと視線を上げると、怪訝な顔をしたライアンが手を止めて私を見ていて。
「ん? ううん、なんでもない」
さっと笑顔を取り繕った。
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