カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「そっそういえば……ベルナード氏ね、正式に審査員をお願いすることになりそうなんだけど……彼って英語は話せるかな?」

連絡は私がすることになるから、フランス語以外NGって言われたらちょっと不便だなって、若干不安を覚えつつ聞くと。

「英語も必要ないよ」って明るい声が返ってきた。
「彼、日本語ペラペラだからね」

「えっ、そうなの?」

「読み書きは得意じゃないそうだけど、奥さん日本人だし、わからない部分は彼女から伝えてもらえばいいんじゃないのかな」

「そうなんだ、よかった……」

ホッと一安心してから。
仕事がらみでふと思いついたことがあって——日本人顔負けってくらい器用に箸を使いこなすライアンを、チラッと伺った。


「ねえライアン」

「ん?」

「あなたの名刺……もらえない?」

「名刺? どうして?」

「ほら、ウェブって最近需要多いの。ライアンの会社も、サイトの新規制作とかシステム開発、請け負ってるんでしょう? だから……」
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