カボチャの馬車は、途中下車不可!?
それから、線路に落ちかけた時のこと。
あれをまだ話してなかった。
でも、そういえば……
ここしばらくは、特に何もなかった。
あの車は、一度も見なかったし。
誰かの視線も、感じなかったし。
もしかして、全部気のせいだったのかな——?
「緊張してるの?」
笑いを含んだ声がして、ビクンっと顔をあげれば。
いつの間にかすぐ隣——冷蔵庫にもたれたライアンが、私を見下ろしていた。
「な、なななんのことっ?」
「ふっ……声、変ってる。意識しちゃって、カワイイ」
かぁああって、頬が上気する。
こ、これじゃあもう、肯定してるようなものだ。
あたふたと言い訳を探す私へ——
「いい加減認めたら? 僕のこと、好きなんだろ?」
余裕たっぷりのセリフに、胸の奥、ズキッと突き刺すような痛みが走った。
こっちは頭の中、ぐちゃぐちゃになるくらい悩んで、想ってるのに……
彼はいつもと全く変わらない。
彼にとって、私は……
切なさと寂しさ、悔しさが全身にトグロを巻いているようで。
シンクの端に爪を立てた。