カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「……ライアン、携帯」
「知ってる」
「で、出た方が」
「放っておけばいい」
「でも……」
RRRRR……
鳴りやむ気配はない。
「しゅ、集中……できない、から……」
恥ずかしさを堪えながら言うと、ようやく彼が体を起こした。
不快そうに眉を寄せたままローテーブルに手を伸ばして、スマホを取る。
そして——小さな舌打ち。
「ごめん、ちょっと出てくる」
そう言って、廊下の向こうへ消えた。