カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「悪かったって言ってるだろ」


玄関のドアを細く開けると、数メートル先のエレベーターホールにいるらしい彼の声が、はっきり聞こえた。

「そんなに怒るなよ、少し遅れたくらいで。わかってるよ、これからホテルに戻るから。あぁ、部屋で会おう。都築に言えば、鍵開けてくれるから。先に入っててくれていい」


ホテル。
部屋で。
カギを開けて。
入ってて……

「オーケーオーケー。気が済むまで付き合うから、それでいいだろ? 朝までだってお相手するよ」

付き合う。
朝、まで……?

意味深なキーワードが、心臓に残酷な楔を打つ。


震える手でなんとかドアを閉めて。
そのまま膝から崩れ落ちた。

ホテルの部屋で、誰に会うの? こんな時間から?


ねえ……どういう、こと?
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