カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「ハイスペック?」

「お父さんがいくつも会社を経営してて。その人はつまり、いわゆる御曹司ってやつで……でも彼は、親の敷いたレールを歩くのは嫌だって、友達と一緒にIT系の会社を始めたそうなんですけど。それが成功して、もう大きな契約いくつもまとめたって。しかも、写真アップしてもらったら、もう、王子様みたいなイケメンで……」

「いやいやいや、青山さん……それってちょっと……」
っていうか、かなり怪しいよね?
話聞いてるだけで、ヤバさ100%、いや120%いくんじゃないの?

御曹司でイケメンでって……
「そもそも、そんな人がアプリ使って恋人探す?」

「仕事が忙しくて、意外と出会いの機会ってないんだそうです。社内は男ばっかりだって」

えーっと……さ。
それって、カラダ目当てで女子引っ掛ける常套句じゃないの?

私はこめかみを指できつく、押さえつけた。
頭痛い……。

「何度かメールやりとりして。一度、会いませんかってことになったんですけど」
「え」
しかも展開、早すぎ!

「もう少し相手を知ってからの方がいいんじゃない?」

「……向こうが、すごく積極的で」

嫌な予感がする。
ていうか、嫌な予感しかしない。
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