カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「うん、やろっか! やろやろっ! 負けないからっ!」


ガタガタッ!

そんなに広くないカフェの店内。
隣の席で大学生っぽいカップルが腕相撲を始めてしまい、私はこっそり「げ」ってうめいた。

「レディー、ゴー!!」

テーブルを揺らしながら、きゃあきゃあ騒いでる。
「やだーぁつよぉーい!」って、負けた彼女は彼氏の手に飛びついて頬ずり。
「じゃあ次はぁ、指相撲ねっ♪」


腕でも指でもいいけど、あんたたちイチャイチャしすぎなのよっ!

胸の内で叫んで……こめかみをきゅって押さえた。



最悪。
こんなの、ただの八つ当たりだ。

たまったモヤモヤを振るい落とすように、ガタンと必要以上に音を響かせて席を立った。

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