カボチャの馬車は、途中下車不可!?

店を出て、新宿の人込みをひたすら、当てもなく歩きまわる。

服でも買おうかと思ったんだけど……なんだかどの店も、どのデザインも、ピンとこない。
心に何も、響かない。

こんなに……一人の時間ってつまらなかったっけ?

今まで散々、一人の方が気楽だって豪語してきたくせに。
どうやって過ごしていたのか、思い出せないなんて。

周囲を見回せば……目につくのは、やたらラブラブのカップルばかりで。
そのたびに胸の奥、苛立ちが淀んだ澱のように積もっていく。

やだな。どうしちゃったんだろう……

私は早々に、ウィンドーショッピングを諦めた。


◇◇◇◇

居場所がなくなった私がやってきたのは……会社だ。

この業界にいれば、休日出勤なんて日常茶飯事だから。
きっと誰かに会えるはず、って期待したんだけど。

がーん…………マジですか。
こんな時に限って誰もいないとか、何なのそれ。

自分のエリアだけ電気をつけて、しょぼんと腰を下ろす。

いつもの騒々しさが嘘みたいに、フロアは陰気に静まり返っていて。
白く照らし出された自分の席が、ぼっちの惨めさを濃く際立たせる。

ライアン……今、どこにいるの? 何してる?
誰と……いるの?
誰に……触れてるの?

誰も答えてくれない問いを、私はただ繰り返した。
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