カボチャの馬車は、途中下車不可!?
長い長い沈黙の間に呼吸を整えた私は、少しずつ冷静さを取り戻し。
一気に全身、青ざめた。
い、今私……何を……
部長に、つつつ、付き合おうとか、言ったような……気がする。
うん……確かに、言った。言ってしまった。
なんて馬鹿なこと……っ!!
ああああ穴があったら入りたい!
いやむしろ、自分で掘りますから、入らせてほしい!
「すすすみませんっ! 忘れてください!!」
恥ずかしすぎるっ——まともに顔を見ることもできず、その場から消えようと体をひねると。
視界の前を素早く、太い腕が遮った。
反対側にも、手をつかれて。
自販機に押し付けられるみたいな恰好で、囲われてしまう。
な、なに……この態勢は?
まままさかの、壁ドン、みたいな?
「ぶ、ちょう……?」
「嬉しいよ」
「……は?」
「お前がようやく、俺の存在に気付いてくれて」
顔を上げると、こんな距離は初めてってくらい、間近に部長がいて。
見たことないほど甘い色を滲ませた黒い瞳が、じぃいっと見下ろしている。
頭が——真っ白だ。
「え、あの部長……っじょ、冗談、ですよね? あの、ちょっと今私おかしくて……でも別に同情とかしていただかなくてもっ」