カボチャの馬車は、途中下車不可!?
時間は5時過ぎ。一緒に外へ出たところで、部長の携帯が控え目に鳴った。
メールらしい。
内容を確認するなり、部長は「嘘だろ」って目をむいた。
「ったくあいつは……エスパーか」
あいつ?
「あー……悪い真杉」
言いにくそうな部長の様子にピンときて、手を振った。
「あ、大丈夫ですっ! 私のことならお気になさらず。また別の機会に行きましょう」
きっと他に約束があるんだろう。
残念だけど仕方ないって笑顔を向けた私に、部長は首を振った。
「いや、お前の方が先約なんだから気にするな。けど……もう1人増えてもいいか?」
もう一人?
「部長のお友達……ですか?」
首を傾げると、部長はぽりぽりって頭をかいた。
「友達……つーか……まぁ、なんていうか……恋人、かな。そういわないと、あいつうるさいんだよな」
こここ、恋人っ!?
とっさにざざざーっと、後ずさってしまった。
部長って恋人、いたのっ!?
いや、部長みたいな人、彼女いない方がおかしいんだけどっ!
でもっ……だったらさっきの……
「すみませんっ! 彼女いるのにっ部長に、あんなことっ……」
ひぇええって心の中でムンクになりながら頭を下げる。