カボチャの馬車は、途中下車不可!?
17. 告白
——おい、警察っ!
——いやそれより救急車だ!!
——大丈夫かよ、あれ。
——生きてるのか?
——轢かれたの?
ざわざわ……
マヒしたみたいにぼんやりしていた耳へ、周囲の声が、ざわめきが、次第にはっきり聞こえてきて。
私はびくびくと瞼を押し上げた。
「はぁはぁ……はぁはぁ……っ」
すぐそば、自分のものじゃない激しく荒々しい呼吸——
「ぶ、ちょう?」
身じろぎすると、部長はのっそり、私の上から身体を起こした。
そして、どさりと傍らに足を投げ出して座り込む。
「無事か、真杉?」
「はっはい、部長は?」
「あぁ、平気」
軽く頷く部長に胸をなでおろした私は、何が起こったんだろうと視線を動かした。
「きゃっ……」
ほんの数メートルの距離。街路樹にグレーの乗用車が突っ込んで、前部分がぐちゃぐちゃにつぶれていた。
部長が気づいて助けてくれなかったら、あれは間違いなく私にぶつかってた。
私……死んでたかもしれない。
ガクガクガク……
すぐそばにぽっかり開いていた死の淵に気づいて、全身の震えが止まらなかった。