カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「まぁ、すぐにはっきりするでしょう。これから一緒に飲んでたって言うバイト仲間がここに来るので話聞いて……って、あいつかな」

視線で示されて、そちらを見れば。
写真の彼より年上っぽい、けれど雰囲気はとても良く似た男性が、警官に伴われて歩いていくところだった。

「あの……この人は、助かるんですか?」
私が聞くと、警官は頷いた。

「今、上で治療受けてますがね、先生の話じゃ骨折だけってことでした。運のいい奴ですよ」

ちょっとホッとした。
どんな状況でも、人が死ぬ場面になんて居合わせたくはないもの。


またお話を伺うかもしれませんが。
と言いおいて、引き上げていく後姿を見送った後。

「部長のおかげです。なんてお礼言ったらいいか……」
私は部長に深々、頭を下げた。

「俺の反射神経がよくてよかったな」
冗談めかした部長の言葉に、強く頷く。

「ほんと、飲酒運転とか……最低ですよね。信じられない」

考えれば考えるほど、怒りがこみあげてくる。
幸い、私も部長も、擦り傷程度で済んだけど。
それは単に運がよかっただけの話で。

もしかしたら、最悪命がなくなっていたかもしれない。
私か……部長か……

さっき感じた寒気を思い出してしまって、ゴシゴシ両腕をさすった。
< 328 / 554 >

この作品をシェア

pagetop