カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「部長……っ」
部長の気持ちを思ったら、もうたまらなくなって。
涙がこみあげてきてしまった。

「おいおい、お前泣かせたくて、こんな話をしたわけじゃないからな?」

明るく笑いながら、私の頭をくしゃっと撫でる部長に、ボロボロ泣きながら、こくこく頷く。

「はい、ずびまっ……せ」

「つまり、何が言いたかったかっていうとだ」
ゴホンって咳ばらいをしてから、部長が私をまっすぐ見た。


「すべての人間に、明日がくるとは限らないってこと」


……え?


「さっきの事故だってそうだ。お前が死んでたかもしれない。俺が死んでいたかもしれない」

「……はい」

「事故や事件、自然災害……誰にいつ何が起こるかなんて、予測できないだろう? どんな聖人君子だろうと、優しい母親だろうと、神様はかばってくれやしない」


あ……

コトリと。
胸の奥で何かが音を立てる。
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