カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「申し訳ございません。お部屋にはいらっしゃらないようですが……」
フロントスタッフの女性が受話器を置き、申し訳なさそうに言った。
「そうですか……」
シェルリーズホテルのフロント。
早く逢いたくて、タクシーすっ飛ばして。
到着するなりフロントに駆け込んで。
覚えていた彼の部屋——3701に内線をかけてもらったんだけど……まさかの不在。
しかもこんな時に限って、スマホはバッテリー切れとか。とことんついてない。
ゲームなんかしなきゃよかった……
ロビーの大時計は10時を回ってる。
どうしよう?
出直したほうがいいかな。
でも……どうしても今日伝えたい。
好きって言いたい。
その思いは、もう今にも私の口からあふれてきそうだった。
いつ頃戻るだろう?
もしかしたら、もうすぐ帰ってくるかも……?
ここで、待ってみようかな。
どうせ明日は日曜だし……。
うん。そうしよう。
気を取り直して、ロビーの一角、豪奢な革張りのソファに腰を落ち着けた。