カボチャの馬車は、途中下車不可!?

週末のせいか、深夜過ぎでもまだまだ遊び足りない人たちが出歩いていて、街はにぎやかだった。
はしゃぐ人の群れをタクシーの中からぼんやりながめながら、うまくいかないもんだなぁってため息をつく。


まさかこの年になって、恋愛でジタバタするなんて。


まるでシーソーゲームだ。

こっちが下がれば、向こうは上がる。
永遠に、同じ位置に、同じ目線にとどまることはできないんじゃないかって、絶望的になる。

余計なこと、考えなきゃよかった。
素直に好きって言えばよかった。

もう……遅いのかな。
愛想、つかされちゃったかも。

こみ上げる涙をぐっと呑み下した。



「お客さん、マンションの前、なんか大きな車停まってるんで、ちょっと先まで行って停めますね」

運転手さんの言葉に「あぁ、はい」って生返事して、財布を取り出した。
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