カボチャの馬車は、途中下車不可!?

江の島付近までやってきた私たちは、せっかくだからと水族館へ入ることにしたんだけど——。


「やっぱり、日曜だとすごい人ね」

家族連れやらカップルやら。
魚を見てるのか人を見てるのか、っていう状況に嘆息すると、ライアンがくすりと笑った。

「僕はうれしいけど」

「え?」

「イチャイチャしてても、目立たない」

言うなり身をかがめ。
サッと、かすめるように盗まれたキス——

「な、な……い、いきなりなにすっ」

盛大にどもりながら抗議すると、「あははははっ」って楽しそうに笑って、彼は私の手をとった。

「恋人なんだから、何もおかしくないだろ」


こ、恋人……

そっか、もう私たち、恋人、なんだ。


ボボボって……か、顔が火照りまくりだ。
館内暗くて助かった……。
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