カボチャの馬車は、途中下車不可!?
その図を思い浮かべて、私も微笑んだ。
「ライアンも同じじゃない? いいパパになりそうよね」
「……え、僕?」
困惑したように聞き返されて、しまった、と口を噤む。
どっと後悔が押し寄せた。
まずい……もしかして、変なプレッシャーかけちゃった?
付き合い始めたばかりで、何考えてるんだ、とか呆れちゃうかも。
「あああの、単なるイメージだから、特に意味はなくてっ」
おたおたと言い訳する私をよそに、ライアンはなぜかぼんやりと、駆けまわる子どもたちを目で追ってる。
「ラ、ライアン? ……どうしたの?」
「いや、自分が父親になるとか……考えたことなかったなと思って」
「そっ、そう。そりゃそうよね。まだ若いんだしっ」
へらっと笑いながら、じくじくと胸の内へ広がる苦いものを感じていた。
父親になるならない以前に、彼は結婚すら考えたことなさそうだ。
楽しく後腐れなく。そんな関係を続けてきたんだろうから。
もちろん、私との関係も例外じゃなくて——
先走っていく想いに、冷水をかけられたような気がした。
うぬぼれるな、と。