カボチャの馬車は、途中下車不可!?
ちょちょ……と、待って。まさか。
ここでキスとか、する気じゃ……?
……する気だ、こいつ!
いやいや、ただ鐘鳴らせばいいだけだから!
「だ、ダメっ……ストップ!」
ぐぐぐっと力いっぱい後ずさろうとするんだけど、腰に回された彼の腕がそれを許してくれない。
気づいたギャラリーからはやすような声が湧き、私は狼狽えまくって身体をひねった。
「や、も……ライアンってば!」
「飛鳥」
「は、はいぃっ」
「僕のことだけ見て。僕は、飛鳥しか見てないよ?」
息が止まりそうなほど甘く、ささやかれて——力が緩んだ一瞬をついて、引き寄せられた。
「ぅ……んっ!」
唇が、強く重なり。
暴走する鼓動へ、鐘の音がかぶさっていく。
ねえ、お願い。これ以上、甘やかさないで。
こんなことされたら私、期待しちゃうじゃない。
信じたくなってしまうじゃない。
永遠っていう名前の、明日を。
二人で過ごす、未来を。
望んでしまう——
カラン……カラン……
夕空に吸い込まれていったのは、ひどく愛しく、切ない音だった。