カボチャの馬車は、途中下車不可!?

間違えて隣の部屋に入ってしまった、みたいな。
奇妙なよそよそしさを感じる。

なん、だろう……?


その時、ふと気づいた。
スリッパが、ころんと片方、三和土の隅にひっくり返ってる。
出かける時、どうだった? こんな脱ぎ方したっけ?

スリッパを手に取って、首をひねる。

もしかしたら、慌てて……蹴飛ばしたかも?

そう、かも? ……きっと、そうよね。
無理やり自分を納得させて、そろそろと廊下を進んだ。


理由もなく、わずかに速くなった呼吸をなだめつつ、その先のドアを押し開ける。


パチっと電気をつけ。



室内を見回して……ホッと脱力。


ほら、大丈夫。

朝出た時と変わらないキッチンとリビング。
どこにもおかしなところはない。

やあね、泥棒かもなんて。
スリッパを手に持ったまま足を踏み入れて。



今度こそ、私はさぁって青ざめた。


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