カボチャの馬車は、途中下車不可!?

記憶を懸命に巻き戻す。

今朝。食事の後……
ライアンは、着替えのために一度ホテルに帰っていって。
私は身支度しながら、彼が迎えに来るのを待っていて。

そして、グリーンに水をあげてなかったことを思い出して、コップに水を入れた。
水をやってる時に、ちょうど彼が戻ってきて……。

コップをテーブルに置いたまま、出かけたのよね。

でも。

見つけたそれは、シンクの中にあった。
空っぽの状態で。

……どういうことだろう?


「ライアンも、私のカン違いだと思う?」

「いや、そうは思わないよ。朝水をこぼしたなら、この暑さだし、もう乾いていていいはずだけど、確かにまだ湿っていたからね」

そうだ。
確かに、濡れていた。
あの時足裏に感じた薄気味悪さを思い出して、私はブルっと身震いした。

「侵入したけど、めぼしいものが見つからなくてあきらめたとか?」

部屋の中に、現金はおいてなかったし。

納得させるように言うと、「いや……反対かもしれない」って、ライアンがつぶやいた。

「反対?」
< 375 / 554 >

この作品をシェア

pagetop