カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「心当たり、あるんだね?」

真摯な眼差しに促されるように。

「じ……実は……」

つっかえつっかえ、話し始めた。

電車の事故の時、誰かに押されたような気がしたこと。
その後、あちこちで監視されているような視線を感じたこと。
出かける先々で見かけた、黒いワンボックスカーのこと。
そして、昨日。
会社の前で危うく轢かれそうになったこと。

「捕まったのは知らない男の子だし、飲酒運転だっていうし、偶然だと思ってたの」

不幸な偶然で、私が居合わせちゃっただけだと。

でも……偶然じゃなかったら?
本当に、私を狙って突っ込んできたのだとしたら?

部長だって言ってたじゃない。

——まっすぐ、お前の方に向かっていったように見えたんだが……


じゃあほんとに私を……?

「誰かに、頼まれたのかもしれないね。君を狙うように」

「だ、誰かって……誰っ?」

狙われるような覚えなんてないっ。
パニック気味に叫ぶ私から、器用にカップを取り上げてテーブルに置くと、ライアンはなだめるように優しく、私を腕の中に閉じ込めた。
< 377 / 554 >

この作品をシェア

pagetop