カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「心当たり、あるんだね?」
真摯な眼差しに促されるように。
「じ……実は……」
つっかえつっかえ、話し始めた。
電車の事故の時、誰かに押されたような気がしたこと。
その後、あちこちで監視されているような視線を感じたこと。
出かける先々で見かけた、黒いワンボックスカーのこと。
そして、昨日。
会社の前で危うく轢かれそうになったこと。
「捕まったのは知らない男の子だし、飲酒運転だっていうし、偶然だと思ってたの」
不幸な偶然で、私が居合わせちゃっただけだと。
でも……偶然じゃなかったら?
本当に、私を狙って突っ込んできたのだとしたら?
部長だって言ってたじゃない。
——まっすぐ、お前の方に向かっていったように見えたんだが……
じゃあほんとに私を……?
「誰かに、頼まれたのかもしれないね。君を狙うように」
「だ、誰かって……誰っ?」
狙われるような覚えなんてないっ。
パニック気味に叫ぶ私から、器用にカップを取り上げてテーブルに置くと、ライアンはなだめるように優しく、私を腕の中に閉じ込めた。