カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「まだ何もわからないし、決めつけちゃうのは早いよ」

「う、うん……」

「でも、確かに偶然にしては重なりすぎてると思う。とにかく、警察は当てにできないから、部屋の方は、専門の業者を僕が手配するよ。きちんと調べないと、気持ち悪いだろう?」

「うん……ありがとう、助かる」

「ねえ飛鳥、全部はっきりするまで、ここで僕と暮らさない?」

「え?」

ここ? って……シェルリーズホテルに、ってこと?
突然の申し出に面食らいながらも、「それは……」と首を振った。

だって……さすがにそこまで甘えちゃうのはちょっと、どうなのかな。
ここって最高級クラスだし。ビジネスホテルに泊まるのとは訳が違う。

「盗撮されてるかもしれない部屋に、君を帰せるわけないだろう?」

「帰らないわよ。友達に泊めてもらうとか、何か方法はあると思うから」

すぐには思いつかないけど、きっとどこか……短期間なら、ウィークリーマンションでもいいし。

私の言葉に、目の前の美貌が憂いを含んで翳った。

「君が自立した女性だっていうことは、ちゃんとわかってるよ。でもそれとこれとは別だろう? こういう時は、もっと頼ってほしいな」

伸ばされた温かな手が頬を滑る。

「僕は、君の恋人なんだから」


トクン……っ……

< 378 / 554 >

この作品をシェア

pagetop