カボチャの馬車は、途中下車不可!?
応接室らしいそこに私一人をおいて、部長はすぐに退室していき。
あとに残されたのは、しかめっ面をした3人の中年男性と私だけ。
ソファに座る2人と、窓際に立つ1人を交互にチラリと見れば……
社内報で、なんとなく見覚えがある。
重役連中、いわゆる『上の人』たちだ。
一体、どうして私がこんなところに?
呼吸にすら普段の3倍増しのエネルギーを消費しそうな重たい空気の中、頭の中をクエスチョンマークだらけにして、突っ立っていると。
ソファに座った一人が、切り出した。
「呼び出される心当たりは?」
「……全くありません」
答えながら、ムッとしてしまう。
彼の口調が、全く友好的とは言えないものだったから。
一体これ、なんなの?
「先日、うちのシステムに外部からの侵入があったという話は、聞いてるかね?」
「あ……はい、知ってます」
情報の扱いには十分注意するようにと、社内メールも届いてる。
すると隣の男性が、腕を組みつつ目を上げた。
「その際の調査結果がでたんだが……それによると、どうやら侵入者が興味を持っていたのは、君のパソコンらしい」