カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「真杉様、大丈夫ですか? お顔の色がすぐれないような……」
気づかわし気な都築さんに、「あ、いえっ大丈夫です」と、なんとか笑顔を取り繕う。
「本当に? よろしければ、医務室へご案内しますが」
「いえ、本当に平気ですから。それよりあの……」
「はい?」
聞いてもどうにもならないことだと思いながら、やっぱり気になってたまらなかった。
「彼女……今の女性も、宿泊客なんですか?」
「チェン様ですか? いいえ、お泊りではなくエステやジムなどホテル内の施設をご利用に、よくいらしてくださいます。ライアン様とは以前からのお知り合いのようでございますね。お部屋によく……」
そこではたと、口を閉じた。
明らかに言い過ぎたと感じたようだ。
すぐに「申し訳ございません」って恐縮しながら頭を下げる。
でも、しっかり聞こえてしまった。
ライアンの部屋に、よく……来てるってことよね?
「彼の部屋に、来るんですね? 彼女」
「いえ、……出過ぎたことを申しました。どうかお忘れください」
「お願いします、教えてください。最近も来たんですか?」
まさか、私がいない間に、部屋に入れたりしてないわよね?
不格好に踊る心臓をぎゅっと押さえながら、都築さんを食い入るように見上げた。
「それは……」