カボチャの馬車は、途中下車不可!?
新条部長のような、重低音じゃない。
むしろテノールに近い、高めの音程。
一点の曇りも腹黒さも感じられない、
どこまでも明るく朗らかで……心地いい声。
これが、「ライさん」?
……いやいやいや!
騙されちゃダメだ!
勢いをつけてガバッと立ち上がり、振り返った。
「は、はじめま……っ」
見事に裏返った声は、調子を外したまま途中でブチ切れた。
は?
え……?
ぱかんと口を開けて、自分の頭よりはるか上から降る、その眼差しを受け止めた。
息が、できない。
瞬きも、できなかった。