カボチャの馬車は、途中下車不可!?
3. 現れた王子
言葉が音を失い、空中に消えていく。
意識のすべてが、彼に集中していく。
息をすることも忘れて、私は目の前のその人を食い入るように見つめた。
——王子様みたいなイケメンで……
青山さんの言葉が、よみがえる。
うん。
いやその……確かに、間違っちゃいない。
目の前の彼は、イケメン、なんて言葉が薄っぺらく聞こえるくらいの、一般常識レベルを超越した、稀有な美貌の持ち主だった。
年齢は30前後かな。
嫉妬してしまいそうなほど白い、瑞々しい肌をしてる。
通った鼻筋や、高い頬骨、大きめの唇……
彫刻のように潔く刻まれた凹凸には、思わず触れたくなるほどの色気があって。
そんな完璧なまでに計算された端正な面差しを、少し垂れ気味の目尻が、マイルドな印象でまとめていて。
なんていうか。
本気で童話の中から抜け出してきたような……
そう、まさに王子様だ。
でも、さ。