カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ううん、平気だよ」
「きよかのフラワーチェリー、貸してあげるね。チェリーはとっても元気な女の子だから、飛鳥ちゃんも元気になるよ」
そう言って、大人気アニメのフィギュアを私の膝にちょんと置く。
「ありがとう……清香ちゃんは優しいね」
頭をくりくりってなでると、幼い顔がにぱっと笑みを浮かべた。
うわ。
ほんと、かわいいなぁ。
坂田が溺愛しちゃうのもわかる。
「清香、明日の準備はもうできてるの?」
お盆を手にやってきた美弥子に聞かれると、清香ちゃんはぴょんと飛び上がった。
「フラギャラのタオルまだっ!」
そのままバタバタと駆けていく。
「飛鳥はブラックでよかったっけ?」
お礼を言ってカップを受け取りながら、「明日何かあるの?」って聞いてみた。
「ダンス教室に通い始めるの、あの子」
「へぇダンス!」
「初台の方に、今話題になってるキッズダンスのクラスがあってね。空き待ちして、ようやく入れることになって」
「空き待ちなんて、すごい人気なのね」
私が子どもの頃なんて、ピアノくらいしかやってなかったけど。
今は選択肢からして、全然違うんだろうな。
「ママぁ、タオル、入んない〜!」
リュックにタオルをぎゅうぎゅう詰め込みながら、清香ちゃんが泣きそうになってる。