カボチャの馬車は、途中下車不可!?

疲れ切った頭は、痺れたように動かない。
何を考えるのも億劫で、私は通話をONにした。


『飛鳥!? 今、どこ!?』


ライアンの声が、飛び込んできた。
初めて聞く、切羽詰まったような、余裕のない声。

ものすごく心配してるみたいに聞こえるけど。

これも……嘘?
だったら、すごいな。役者になれそう。
苦い笑みが浮かんだ。

もう、何を信じたらいいのかわからない……


『飛鳥、話したいことがあるんだ』

「……偽名、使ってたこと?」

感情の欠けた声で聞けば。


『どうしてそれを……』

喘ぐような、苦し気な声。

否定しないんだ?
認めるんだ。嘘ついてたって。
その事実に、ピシピシッと、心にヒビが入っていく。

簡単に清掃スタッフとのやり取りを説明した後、「ねえライアン、全部、嘘だったの?」と、投げやりに聞いた。
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