カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「『ご観覧中のお客様に、お知らせいたします』」


え……

自分の耳を、疑った。
スマホから耳を離し、そしてまた近づける。

「『水族館は、まもなく閉館のお時間となります』」


……間違いない。

電話の向こうからも、全く同じセリフが聞こえる。
つまりそれは。

彼もここに、この水族館の中にいるってことだ。
私を……追って?

どうして?
どうして私の居場所がわかったの?


こんな大都会のど真ん中で。
どうして?

どうして?

混乱の中、ゆらりと浮かび上がってきたのは——違和感と既視感の奇妙な二重奏だった。


そういえば……前にもあったような気がする。
同じようなこと。
私のいるところに、ピンポイントで彼が現れて……

ほら、本宮さんとトラブルになった時。
タクシーから助け出してくれた時。

あれは渋谷だった。
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