カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「ライアン、正直に答えて」

『え?』


「私の携帯に何かアプリ、入れた? 位置を特定できるみたいな」


自分のものなのに。
別の場所から響いてるみたいに現実味の薄い声がした。
まるで氷がしゃべってるみたいだと、思った。





『…………ごめん』





絞り出すような謝罪が聞こえた瞬間。
こぶしを口に強く押し当てて、爆発しそうになる感情をぎゅうッと無理やり抑えつけた。

それが、彼の答え。答えのすべて。
私の質問に対する、答えのすべて。


一体いつ? いつ入れたの?

本宮さんとの飲み会より前ってことよね。だったら……
はっきりと思い出せる瞬間は、一度だけだ。

初めてマンションまで送ってもらった時。
ライアンにスマホを奪われて、彼が自分のスマホとフルフルして。
連絡先を交換した。

——やり方、わかるの?
——わかるよ。こんなの、大体同じだろ。

もしあの時すでに、アプリがダウンロードされていたとしたら?
婚活アプリで知り合っただけの相手に、そんなことをするだろうか。

まさか……初めから別の目的があって近づいた?
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