カボチャの馬車は、途中下車不可!?

——どうやら侵入者が興味を持っていたのは、君のパソコンらしい。君のパソコン周りが、重点的にいじられていた形跡が……
——俺たちが扱ってる情報の中には、上場企業の株価左右するようなものも含まれてるからな。


熱気冷めやらぬ真夏の夜だというのに。
ひどく、寒気がする。

そういえば青山さん、言ってなかった?


——仕事の話をしたときに、YKDで営業やってるってことだけ。


もしかして。

もしかして、彼が私に近づいたのは。
甘く口説いてきたのは。

YKDの社員だったから?

青山さんでも、私でも。
うちの会社の人間なら、誰でもよかった?


乾いた涙が貼りついて、頬が痛い。

一体、何を勘違いしていたんだろう……私は。

運命とか言われて。
甘い言葉とキスに酔って。
いい気になって……浮かれて……

『飛鳥、信じてほしい、僕はっ——』
「七つ星ホテルに呼び出して、シンデレラ気分を味わわせて? それで? 私のおかげで、欲しかった情報はもう手に入れた?」

やり場のない怒りをぶつけるように、叩きつけるように詰る。

返ってきたのは……
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