カボチャの馬車は、途中下車不可!?
沈黙だった。
電話の向こうが押し黙ってしまったのだ。
「何よ……何か言ったら?」
『……待ち合わせにシェルリーズを指定してきたのは、君の方だよ?』
奇妙に落ち着いた、ライアンの声がした。
「え……?」
私が、指定? え……どういうこと?
『いや、マユミの方、って言うべきかな』
マ……ユミ?
何を言われたのかわからず、言葉に詰まる私へ。
『飛鳥……やっぱり君は、マユミじゃないんだね?』
わずかに緊張をはらんだ声音で聞く。
「っ……そんなこともう、どうだっていいでしょ!?」
『あす——』
ブツッ……!
通話を切り、電源を落とした。
そうだ。
そんなこと、どうだっていい。
彼が私を騙していた。
甘い言葉はすべて嘘だった。
それは、事実なんだもの。
こぼれ落ちる涙をぬぐって。
そして私はベンチの上にスマホを置き、立ち上がった。