カボチャの馬車は、途中下車不可!?
チェックアウトを済ませると、エントランスから恐る恐る首を突き出した。
その通りは、シェルリーズホテルの裏側に面していて、地下駐車場への出入り口もあるから、用心に越したことはない。
車も……人も……よし、来ないわね。
キョロキョロと周囲を確かめた後、うつむき加減に外へと歩き出した。
とにかく、早く地下に入って人ごみに紛れてしまおう。
その方が安全って気がする。
大丈夫。
誰も、つけてこない。
自分に言い聞かせるようにつぶやいて、先へ急ごうとする足を落ち着かせる。
もう、少し……
大丈夫。
後ろに人の気配はない。
あと、少し……
地下鉄の入口が見えてきた——その時だった。
後ろにばかり気をとられていた私は。
前からやってきた誰かに、ドンっとまともにぶつかってしまい、慌てて「すみません」って頭を下げた。
「真杉……様?」