カボチャの馬車は、途中下車不可!?
ぎくりと顔を上げると、切れ長の瞳が驚いたように私を見つめていた。
「つ、都築……さん」
これから出勤なんだろうか。
私服姿の彼は、いつもよりぐっとカジュアルな雰囲気で、若く見えた。
「おはようございます。……どうかされたんですか? お顔が真っ青ですよ?」
「い、いえ……ちょっとびっくりしただけです」
「何か、あったんですか?」
「いいえ、あの、大丈夫ですから」
「大丈夫という雰囲気ではありませんね……失礼ですが、何かあったんじゃないですか、お連れ様絡みで」
思わずひゅっと……言葉を飲み込み、都築さんを凝視していた。
「な、んで……」
都築さんは「やっぱり」ってため息をつきながら黒髪に指を突っ込み、せっかくセットしたスタイルが崩れるのも構わず、ぐしゃりとかき回した。
「やっぱり……?」