カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「実は……」
そして、辛そうな目を私に向ける。

「スタッフからあの方について、あまり芳しくない報告が上がっておりまして。ホテル側でも注意していこうと、確認しあったところだったんです」

「芳しくない、報告? なんですかそれは」

「真杉様、ここではなんですから、事務所でじっくりお話させていただけませんか?」


じ、事務所?
シェルリーズの中に入れってこと?

「いえあの……私は、行くところがあって……」

カバンを胸に抱えて後ずさる私を、都築さんがじっと覗き込む。

「真杉様、もし当ホテルで犯罪が行われているのであれば、黙って見過ごすことはできません」

「は、犯罪……?」

芳しくない噂って……犯罪絡みなの?

途端に知りたいって気持ちがむくむくわいてきて、ごくっと息を飲んだ。


「私の叔父は、ホテルの支配人をしております。決して悪いようにはしませんから、どうかご協力いただけませんか」

ダメ押しのように言われて、そうかもしれないと思いなおした。
確かに一人で調べるより、心強いかも。
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