カボチャの馬車は、途中下車不可!?

スタッフ用の入口から中に入った私は、狭いバックヤードを通り、事務所へと案内された。

デスクとキャビネット、来客用のソファを備えたこぢんまりした部屋には、他のスタッフの姿もなく静かで、ようやくホッと息を吐く。

ソファに向かい合って腰を落ち着けると。
私は今までのことをかいつまんで話し始めた。


後輩に頼まれて、ライアンに会いに行ったこと。
それから起こった、数々のこと……




「なるほど。確かにそれは……すべて関係がありそうですね」

聞き終えると、都築さんは尖った顎に指を添え、何度も頷いた。


「彼のよくない噂っていうのは、どういうことなんですか?」

「お客様のことを、悪く言いたくないのですが……」

「お願いします、どうか教えてください。どうしても知らなくちゃいけないんです」

頭を下げて言い募るとようやく、彼も重たい口を開いてくれた。

「お部屋に、女性客をよくお連れになっているようなのです」

「シンシア……チェン、っていう人ですか?」
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