カボチャの馬車は、途中下車不可!?
『ねえシュウ! 弘(ひろむ)の仲間が、真杉飛鳥の泊まったホテル突き止めたんだって。六本木。シュウのホテルのすぐ近く。弘が誰かそっちに向かわせるって言ってるから、合流して手貸してあげてよ。ねえ、ちょっと聞いてるの? シュウ?』
「…………どういうこと?」
『え? …………あんた、誰?』
「今言ったこと、どういうことなの……青山さん」
『…………真杉、さん……?』
「人の携帯に、勝手に出ないでいただけますか」
冷たくのっぺりした声が、すぐ後ろで響いて。
全身が、彫刻になってしまったみたいに……一瞬で硬直して。
おどおどと、なんとか動かした視界に、ネームプレートが映り込む。
都築修。ツヅキ・シュウ……
ハッと視線を上げた直後、意外なほど強い彼の手によって、ハンカチのような布が顔に押しつけられて。
何が起こったのか、考える間もなく。
私の意識は、急速に遠のいていった。