カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「結局捕まえたんだから結果オーライだろぉ。んなビビってんなよ。お坊っちゃんはこれだから困る」
隅の方から揶揄う声。
呼応するように、あちこちで失笑が起こった。
「うるさいっ! 俺は、弘が大丈夫だっていうから! 絶対うまくいくっていうからっ協力したのにっ!!」
「あぁうるせえな。だーいじょぶだって」
男が一人、ゆらりと立ち上がった。
縮れた髪を、白に近いくすんだブルーに染めた男。
カウンターに近づくと、都築さんの頭を「よしよし」って子どもにするような仕草で撫でる。
「あの女殺っちまえば、全部丸く収まるだろ。何もバレやしねえよ」
パシッとその手を振り払って都築さんが立ち上がり、人差し指で天井を指した。
「だからっ!! もう上が気づいてるんだっ!! 人が送り込まれてきてるって教えてやっただろうっ!! いい加減状況理解しろよっ!!」
「あぁあの金髪のガイジンねぇ。あんなオカマみてえなキレイ系ニーチャンに何ができるってんだよ。心配すんな」
「上が見込んだ男だぞっ! 只者なわけないだろうっ! だいたい、線路につき落とすとか、なんですぐバレそうな馬鹿な真似するんだよっ!!」
「だぁってよぉ、目の前、あの女が走ってくんだぜ? こりゃチャンスだって思うじゃん。早く殺っといた方がいいってさ」