カボチャの馬車は、途中下車不可!?
それが何? って、ミニスカートから伸びた足を見せつけるように組み替えながら、平然と言われて。
私は愕然と口を噤む。
「でもほんっと、惜しかったなぁ。あーんな王子様が相手なら、あたしがマユミをやりたかったぁ。今度の客はホテル側のスパイらしいって、修から連絡こなきゃねー」
「きゃ、く……?」
「ねえ」って青山さんが身を乗り出した。
「あの王子と寝たんでしょ? どうだった? ヨかった? あぁあ〜残念! やっぱりお金なんていらないから、あたしが相手したかったぁ」
客? お金?
何、それ……それってまるで。
頭の中で、いくつかのキーワードがピタリピタリと、パズルのように組み合わさっていく。
もしかして、彼女がアプリで探してたのは……
「あなた……まさか、売春、してたの?」
「バイシュン、古っ!」って、青山さんは足をバタつかせて爆笑した。
「まぁ、ぶっちゃけそういうことですけど。上場企業勤務の清純派OLって看板、かなり効くんですよねぇ。めちゃくちゃ稼げますよ? 真杉さんも仲間入ります? あぁでも、そのオトシだと、ちょっと体力持たないかなぁ」
きゃはははははって、バカにしたような笑い声が店内いっぱいにこだまする。
「なん、で……」
体中から、力が抜けていく。
かわって広がっていくのは、とてつもない無力感だ。
がんばってると、思ってた。彼女なりに努力してるって。
私は何を見ていたの?
飛鳥マジック? 人を見る目がある?
どこがよ……笑っちゃう……。
私は彼女の何も、理解できていなかった。