カボチャの馬車は、途中下車不可!?

それが何? って、ミニスカートから伸びた足を見せつけるように組み替えながら、平然と言われて。
私は愕然と口を噤む。

「でもほんっと、惜しかったなぁ。あーんな王子様が相手なら、あたしがマユミをやりたかったぁ。今度の客はホテル側のスパイらしいって、修から連絡こなきゃねー」

「きゃ、く……?」

「ねえ」って青山さんが身を乗り出した。
「あの王子と寝たんでしょ? どうだった? ヨかった? あぁあ〜残念! やっぱりお金なんていらないから、あたしが相手したかったぁ」

客? お金?

何、それ……それってまるで。
頭の中で、いくつかのキーワードがピタリピタリと、パズルのように組み合わさっていく。

もしかして、彼女がアプリで探してたのは……

「あなた……まさか、売春、してたの?」

「バイシュン、古っ!」って、青山さんは足をバタつかせて爆笑した。
「まぁ、ぶっちゃけそういうことですけど。上場企業勤務の清純派OLって看板、かなり効くんですよねぇ。めちゃくちゃ稼げますよ? 真杉さんも仲間入ります? あぁでも、そのオトシだと、ちょっと体力持たないかなぁ」

きゃはははははって、バカにしたような笑い声が店内いっぱいにこだまする。

「なん、で……」

体中から、力が抜けていく。
かわって広がっていくのは、とてつもない無力感だ。

がんばってると、思ってた。彼女なりに努力してるって。
私は何を見ていたの?

飛鳥マジック? 人を見る目がある? 
どこがよ……笑っちゃう……。
私は彼女の何も、理解できていなかった。
< 474 / 554 >

この作品をシェア

pagetop