カボチャの馬車は、途中下車不可!?
夢を、見てるの……?
幻?
「ふっ……ぶぁっは、あはははっ……」
河部が、膝を叩きながら笑い出した。
「ウケるわ。お前、相当バカだな。こんなとこに一人で乗り込んでくるなんて」
男たちも、その言葉で自分たちの優位を確信したのか、ニヤニヤと歪な笑いを浮かべながらライアンを取り囲んでいく。
でも。
動じる風もなく、彼は皮肉っぽく肩をすくめただけだった。
「バカなのはお前だね。都築の言葉、聞こえなかった?」
「は?」
「『上が見込んだ男』で、『只者じゃない』んだよ。僕は」
「はぁ? なんだそ……」
笑い飛ばそうとした河部は、急にギクリと顔を強張らせ、振り返った。
そして隅で震えながらうずくまる都築さんを見つけると、派手に舌打ちする。
「こいつかよ……どこだ!? 一体どこにっ……」
駆け寄って、ペタペタ、その全身をまさぐる。
「な、なんだよ弘!?」
「お前があいつ連れてきたんだよ! お前の身体のどっかに、発信機か盗聴器がついてるんだよっ! このばかっ!」
「ええっ!?」
ライアンが、ニッとその美しい口元を綻ばせた。
それは、悪魔だって震えあがりそうな……凄みのある微笑だった。
「さて、と。そろそろ僕の姫を、返してもらおうか?」