カボチャの馬車は、途中下車不可!?
だって——
男たちは床に這いつくばって呻き、白目をむき、痙攣し……とにかく全員ノックダウンしてて。
ライアンがその中で一人、平気な顔して立ってるんだもの。
息一つ、乱すことなく。
な、なんなのこれ……
だって、目を離したのはほんの少しの間で……
一体いつの間に!?
「おやおや、今日はブチ切れまくってんなぁ……おーいライ、やりすぎると上からクレームくるぞ」
ぽりぽり、頭を掻きながら伊藤くんが言えば、
「上なんか、どうでもいい」って、木で鼻をくくったような返事。
「な、わかっただろ?」
呆然としている私を、伊藤くんが苦笑しながら見下ろした。
「あんなチンピラ程度に、ライの相手なんかできないって。何しろ、あいつのケンカはマフィア仕込みだからな」
ま、マフィア……!?
「それってどういう——」
「っざっけんなよ……このっカマ野郎がぁっ!!」
私の言葉をかき消すように、激情に駆られた叫びが響き渡って。
倒れた男たちの中から、むくりと一人が体を起こした。
青白い顔を怒りで真っ赤に変えた河部が、ライアンに向かって雄たけびを上げながら猛然と突っ込んでいく。
その手にはギラっと光るもの——ナイフだっ!
「ライアンっ!!」