カボチャの馬車は、途中下車不可!?

ぎゅんっ!

鋭い音を立てて繰り出されたその一撃を、彼はわずかな動きでふわりと避け。

そして。
真っすぐ伸びた河部の腕を跳ね上げると、その隙をついて懐にするりと潜り込み。
鳩尾あたりにこぶしをトンと入れた。

それはほんの一瞬、ごくささいな動き……
に、見えたのは私だけ、だったらしい。



「が……はっ……!!」


苦しそうなうめき声を残して。
河部はぐにゃりと、クラゲみたいに床につぶれてしまったから。


「すご……」
言葉が、なかなか出てこない。

素人目にも、その動きが確かに『只者じゃない』ってことはわかる。
彼がこんなに強かったなんて……


「なんだ、もう終わり?」


つまらなさそうな声が聞こえて、私は視線をあげ——


ゾクリとした。
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