カボチャの馬車は、途中下車不可!?
河部を見下ろすその瞳に宿っていたのは、冷たい焔。
空気すら結晶化するんじゃないかと思うほど、いっそ冷酷とも言うべき表情がその美貌には浮かんでいて。
そんな彼を見たのは初めてで……自分に向けられたものじゃないってわかっていても、背筋がうすら寒くなる。
あれは、本当にライアンなの……?
彼は……何者なの?
確か、上が見込んだ男、とか、言ってたけど。
上、って……一体、どこのことだろう?
「くるな、来るなぁっ!」
引きつった悲鳴で、ビクッと現実に引き戻された。
ライアンが、カウンターにへばりつきガタガタ震える都築さんへと向かっていくところだった。
「頼む、見逃してくれっ! 金が……仕方なくて! 俺は断ったんだ、けどっ……」
声を遮るようにその襟首を掴むと、片手で高々と持ち上げる。
「ひぃいっ! 助けてっ! やめ、やめろぉっ!」
足をばたつかせながらの絶叫に、優美な眉が不快そうに寄った。
「最後くらい、もう少しオリジナリティのある言葉がほしかったね」
冷え冷えとした口調で言い、空いた方のこぶしを振りかざした——